音楽 MUSIC

あの頃受けた影響は計り知れないですよね そんな音楽をとことん語るコーナーです。

集中連載「プリンスを語ろう」Vol.06

6thアルバム「Purple Rain」

物語・映像・音楽が一体化した“奇跡の臨界点”


はじめに

**シオジリケンジ(通称:シオケン)**と
**音楽ライター・神崎いろは(通称:いろは)**が、
Princeのアルバムを1作ずつ語る連載
「プリンスを語ろう!」

Vol.5『1999』で、
プリンスはついに“世界と同じ音量”で話し始めた。

そして次の一手で彼がやったのは、
音楽を、物語と映像にまで拡張することだった。

1984年発表。
アルバムであり、映画であり、神話でもある作品――
『Purple Rain』


「これはもう、アルバムじゃないですよね?」

いろは:
改めて聴くと、
『Purple Rain』って、
普通のアルバムの枠に収まらないですよね。

シオケン:
うん。
これはプロジェクトだね。

いろは:
曲が良いとか、売れたとか、
そういう話だけじゃ足りない。

シオケン:
音楽、映画、キャラクター、物語。
全部が同時に立ち上がった、
かなり稀なケース。


「巨大化したプリンスを受け止める器」

いろは:
どうしてこのタイミングで
映画まで作ったんでしょう。

シオケン:
『1999』で、
プリンスは一気に巨大化しすぎた。

いろは:
音楽だけでは収まりきらない。

シオケン:
そう。
だから“物語”という器が必要だった。
自分を投影できる主人公、
葛藤、勝利、喪失。

いろは:
ステージ上のカリスマを
物語として固定した。


「実は、いちばん“王道”」

いろは:
実験的な人のイメージが強いけど、
音楽自体はすごく王道ですよね。

シオケン:
そこが重要。
ロック、ファンク、バラード、
全部が最大公約数で機能してる。

いろは:
「When Doves Cry」も
構造はかなり変なのに、
なぜか大ヒット。

シオケン:
ベースがないとか、
冷静に考えると異常。
でもメロディと感情が
全部をねじ伏せてる。


「泣ける理由を、誰も説明できない」

いろは:
正直、
「Purple Rain」が流れると
条件反射で来ます。

シオケン:
わかる(笑)。
理屈じゃない。

いろは:
歌詞も、
明確な意味があるようで、
掴めない。

シオケン:
だからいい。
これはメッセージじゃなく、
感情の共有装置

いろは:
観客全員が、
同じ感情を体験する。


シオケン:
『Purple Rain』は、
プリンスが
個人の表現を“神話”に変えた瞬間だ。
ここまで来ると、
もう音楽家という枠では語れない。


いろは:
次回は、
この神話を自ら壊しにいく話。
成功の直後に訪れる違和感と反動。
**『Around the World in a Day』(1985)**を語ります。

——続く。

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