
集中連載「プリンスを語ろう」Vol.07
7thアルバム「Around the World in a Day」
頂点からの急旋回――神話を壊すためのサイケデリック

はじめに
**シオジリケンジ(通称:シオケン)**と
**音楽ライター・神崎いろは(通称:いろは)**が、
Princeのアルバムを1作ずつ語る連載
「プリンスを語ろう!」。
Vol.6『Purple Rain』で、
プリンスは“時代の象徴”になった。
普通なら、その成功を拡大再生産する。
――だが彼は、真逆に舵を切る。
1985年発表、
『Around the World in a Day』。
これは成功の余韻を楽しむアルバムではない。
成功から逃げるためのアルバムだ。
「これ、みんなが期待してた“次”じゃないですよね?」
いろは:
正直に言うと、
『Purple Rain 2』を期待して聴くと
面食らいますよね。
シオケン:
うん。
それを分かった上で、
完全に裏切りにいってる。
いろは:
ギターは後ろに下がるし、
派手なロックもない。
シオケン:
しかもサイケデリック。
1967年みたいな音。
「プリンス自身が“Purple Rain”に飽きていた」
いろは:
どうして、ここまで急に変えたんでしょう?
シオケン:
単純だよ。
同じことをやりたくなかった。
いろは:
あれだけの成功の直後に?
シオケン:
だからこそ。
“Purple Rainの人”として
消費される未来が見えてた。
いろは:
それを拒否した。
シオケン:
うん。
神話になった瞬間に、
自分で神話を壊す。
「60年代へのワープ」
いろは:
音が一気にカラフルになりますよね。
シオケン:
ビートルズ後期、
サイケ、ドリーミーなアレンジ。
いろは:
ドラムも前に出ない。
シオケン:
リズムで踊らせない。
浮遊させる音楽。
いろは:
プリンスが“気持ちよく歌ってる”感じがします。
シオケン:
そこ重要。
このアルバム、
プリンスが自分のために作ってる。歌詞もかなり心の内側に深く掘り込んでる
「これは“失敗作”なのか?」
いろは:
当時、賛否ありましたよね。
シオケン:
当然。
求められてたのは
スタジアムロックの続編。
いろは:
でも、今聴くとどうですか?
シオケン:
むしろ誠実。
売れる方向より、
正直な方向を選んでる。
いろは:
ファンをふるいにかけてる感じも。
シオケン:
そう。
「それでもついてくる?」って。
よっぽどの自信と確信がないとできないよねぇ
シオケン:
『Around the World in a Day』は、
成功を否定したアルバムだ。
でもそれは自己破壊じゃない。
自由を守るための選択だった。
いろは:
次回は、
このサイケな内向きベクトルが
さらに深化し、孤立していく瞬間。
プリンスが“誰にも寄せない”音楽を作った
**『Parade』(1986)**を語ります。
——続く。

















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