
プリンスを語ろう!特別編
80年代プリンス総括
――アイデンティティを掴んだ男は、なぜ壊し続けたのか

はじめに
ここまで
『For You』から『Lovesexy』、そしてBlack Albumまで、
80年代のPrinceを追いかけてきた。
デビュー、神話化、解体、再生。
怒り、光、実験、祝祭。
今回は特別編として、
80年代のプリンスとは何だったのかを
シオケンといろはが総括する。
「80年代のプリンスって、結局どんな人だったんですか?」
いろは:
ここまで追いかけてきて思うんですが、
80年代のプリンスって、
毎回違う人みたいでしたよね。
シオケン:
うん。
でも芯はずっと同じ。
いろは:
その“芯”って何なんですか?
シオケン:
「俺は何者か?」を音楽で確かめ続けた人。
「最初から完成していた。でも満足しなかった」
いろは:
1stからすでに完成してたのに、
なぜあそこまで変わり続けたんでしょう。
シオケン:
完成してたのは“技術”。
でも、
アイデンティティは固定したくなかった。
いろは:
『Purple Rain』で頂点に立っても、
そこに留まらなかった。
シオケン:
神話になった瞬間に、
自分で壊した。

「成功より自由を選んだ」
いろは:
『Around the World in a Day』や『Parade』って、
明らかに“売れる方向”じゃないですよね。
シオケン:
うん。
80年代のプリンスは、
成功より自由を優先した。
いろは:
Black Albumなんて、
完成してたのに止めた。
シオケン:
あれが象徴。
自分の状態を
ちゃんと客観視してた。
「プリンスという“ジャンル”の誕生」
いろは:
80年代の終わりには、
もうジャンルを超えてますよね。
シオケン:
そう。
ロックでもR&Bでもない。
プリンスというジャンル。
いろは:
性も宗教も政治も、
全部飲み込んだ。
シオケン:
だから
『Sign ☮︎ the Times』みたいな
玉手箱的アルバムが成立した。
「破壊と再生を自分で回していた」
いろは:
一言で言うと?
シオケン:
自己破壊型クリエイター。
いろは:
でも、壊れなかった。
シオケン:
そこが凄い。
壊すのは“イメージ”であって、
芯は壊さない。
「次の敵は“業界”になる」
いろは:
80年代でアイデンティティは掴んだ。
じゃあ次は?
シオケン:
次は外側。
レコード会社、契約、流通。
いろは:
音楽そのものより、
構造と戦う。
シオケン:
そう。
80年代で“自分”を確立したから、
90年代は“システム”と戦えた。
シオケン:
80年代のプリンスは、
天才だったから凄いんじゃない。
自分を疑い続けたから凄い。
完成しても壊す。
売れても逃げる。
怒りを出して、光を選ぶ。
あの10年で、
彼は“アーティスト”から
表現者の象徴になった。
いろは:
80年代のプリンスは、
完成していく物語じゃなかった。
壊しながら、
少しずつ“本当の自分”に近づいていく物語だった。
そして90年代、
その確立したアイデンティティは
さらに別の戦いへと向かう。
——続く。
連載構造上の意味
- 80年代:自己確立の時代
- 90年代:構造との闘争
- 2000年代以降:自由の回収と再解釈


















この記事へのコメントはありません。