
プリンスを語ろう!
14thアルバム『Love Symbol』
「My Name Is Prince」から始まる宣戦布告――名前を超えるためのアルバムと怒りが同居した野心作

はじめに
『Diamonds and Pearls』で再び時代の中心に立った
Prince。
しかし、その成功の裏で、
プリンスの中には明確な違和感が芽生えていた。
1992年発表の
『Love Symbol Album』。
1曲目はこう始まる。
“My Name Is Prince.”
これは自己紹介ではない。
宣言だ。
「なぜ、ここで“名乗る”んでしょう?」
いろは:
「My Name Is Prince」って、
あまりにもストレートですよね。
シオケン:
そう。
でもこれは単なる名乗りじゃない。
いろは:
どういう意味ですか?
シオケン:
“Prince”というブランドを
一度、自分の言葉で取り戻す行為。
「90年代の文脈に本気で入ってきた」
いろは:
前作『Diamonds and Pearls』で
ヒップホップ的要素はありましたよね。
シオケン:
あれは寄り添い。
今回は踏み込んでる。
いろは:
ビートも重いし、
ラップの導入も自然。
シオケン:
90年代のブラックミュージックの流れを
ちゃんと咀嚼してる。
いろは:
でも完全にヒップホップにはならない。
シオケン:
ならない。
それがプリンス。
吸収して、自分の血にする。
「多種多様。でも全部プリンス」
いろは:
このアルバム、
本当にジャンルが多彩ですよね。
シオケン:
ファンク、R&B、ヒップホップ、
ロック、バラード、ゴスペル。
いろは:
バラエティはあるけど、
散漫ではない。
シオケン:
“Prince的音楽世界”が
中心にあるから。
いろは:
前作よりさらに
射程が広がってますね。
シオケン:
うん。
これは拡張作。
「“Prince”という商品名との距離」
いろは:
でもこのアルバム、
どこか緊張感があります。
シオケン:
当然。
レコード会社との関係は
すでに歪んでる。
いろは:
だから“名乗る”。
シオケン:
そう。
“Prince”という名前を
誰よりも自分が定義する。
いろは:
そしてその後、
名前を捨てる。
シオケン:
ラブシンボルへ。
文字ではなく、記号。
いろは:
商品名からの脱出。
シオケン:
これはその予告編だよ。
「自由を取り戻すための一手」
いろは:
つまりこのアルバムは?
シオケン:
宣戦布告。
いろは:
誰に対して?
シオケン:
業界に。
契約に。
“Prince”という固定化されたイメージに。
いろは:
甘いラブソングもあるのに、
実はかなり戦闘的。
シオケン:
そう。
これはロマンティックなアルバムじゃない。
自由を勝ち取るための準備運動。
シオケン:
『Love Symbol Album』は、
プリンスが
「自分の名前は自分で決める」と宣言した作品だ。
そしてその直後、
本当に名前を捨てる。
④ いろはの締め
いろは:
“Prince”と名乗りながら、
その名前から離れようとする。
矛盾しているようで、
実は一番プリンスらしい。
次回は、
契約問題が表面化し、
自ら”Prince”を葬ってしまう
**『Come』(1994)**へ。
——続く。
位置づけ整理
- Diamonds and Pearls:再ヒット
- Love Symbol:宣戦布告
- Come:闘争の表面化
ここから先は、
“音楽家プリンス”ではなく
**“制度と戦う表現者”**の物語。

















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