
ボクらのレジェンド①「楳図かずお」に想いをはせる
🌟 楳図かずお特集 第1回:生い立ちと手塚治虫からの影響——ホラー漫画という選択肢を選んだ軌跡
👶 楳図かずおの生い立ちと影響を受けたもの
📆 幼少期と戦争体験
楳図かずお(本名:楳図 和夫)は、1936年9月3日、和歌山県に生まれました。
幼少期を過ごしたのは第二次世界大戦中という時代背景もあり、彼の作品には**「人間の狂気」や「死」への意識**が色濃く反映されています。
特に空襲や戦争による混乱を目の当たりにした経験は、後のホラー作品に大きな影響を与えたとされています。
🐞 手塚治虫との出会いと影響
楳図かずおが最も影響を受けた漫画家は、言わずと知れた手塚治虫です。
少年時代に読んだ『新宝島』に衝撃を受け、漫画家を志すきっかけとなりました。
**手塚治虫の「動きのあるコマ割り」「表情豊かなキャラクター描写」「物語性」**は、楳図かずおの作風にも大きく影響を与えています。
しかし、ある時、手塚治虫を意識しているといつになっても師匠越えはできないと悟った楳図かずおは,その頃まだ未開地だった「ホラー」というジャンルに飛び込んで行くこととなります。
💀 ホラー漫画という選択肢と独自の道へ
1960年代から1970年代にかけて、漫画界ではホラーが一つの人気ジャンルとして成長しつつあり、
楳図かずおはその中で**「心理的恐怖」と「視覚的ショック」を融合させた独自のスタイル**を確立していきます。
📚 主要作品の紹介とあらすじ(年代順)
🐈 『猫目小僧』(1967年 – 1976年)
お気に入り度:⭐️⭐️⭐️

妖怪漫画の代表作であり、ホラー表現への第一歩とも言える作品。
不気味な目を持つ半妖怪の少年「猫目小僧」が様々な人間の欲望や恐怖に関わっていくストーリー。
社会的なテーマを妖怪の存在を通じて表現するスタイルが特徴。
🌊 『イアラ』(1968年)
お気に入り度:⭐️⭐️⭐️

あらすじ
『イアラ』は、楳図かずおが描く時代を超えた愛と謎の物語です。
SFとファンタジーを織り交ぜながら、主人公が「イアラ」という言葉の意味を追い続ける壮大なストーリーが展開されます。
🏺 奈良時代の悲劇から始まる旅
物語は、奈良時代を舞台に、若者・土麻呂と奴婢の少女・小菜女(こなめ)との儚い恋から始まります。
二人は身分差を超えて愛し合っていましたが、土麻呂は大仏建立のための労役に召し出されてしまいます。
小菜女は彼を追って大仏建立の現場へ向かい、そこで指揮官である国中公麻呂の妻となることで生き延びます。
しかし、彼女は大仏に魂を宿す儀式として、熱銅と共に大仏の中に封じられるという悲劇的な運命を迎えました。
その直前、小菜女は「イアラ」という謎の言葉を叫びながら命を落とします。

⏳ 時代を超えた追跡と謎
それから数百年、土麻呂に似た男が時代を超えて「イアラ」の意味を追い求める旅を続けることになります。
物語は鎌倉時代、安土桃山時代、江戸時代、そして現代へと展開し、異なる時代ごとに愛する女性を追い求める彼の姿が描かれます。
この長い旅の中で、「イアラ」という言葉の意味や、それに込められた想いが徐々に明らかにされていきます。
🔍 『イアラ』の魅力とテーマ
楳図かずおが手掛ける『イアラ』は、ホラー作品とは異なる幻想的かつ壮大な物語です。
特に魅力的なのは、時代を超えて繰り返される愛と執念のテーマ。
過去の悲劇が未来へと繋がり続けることで、永遠の愛とその結末への恐怖感が独特の緊張感を生み出しています。
また、楳図作品ならではの繊細な描写と大胆な構図も見どころのひとつ。
読者は次々と時代が移り変わる中で、主人公の追求する「イアラ」という謎に引き込まれていくでしょう。
🎯 まとめ
『イアラ』は、時代を超えた壮大な物語の中で「愛」と「謎」を描いた楳図かずおの異色作です。
ホラーとは異なるテイストでありながら、どこか不穏で美しい雰囲気が全編に漂っています。
「イアラ」とは何か?
主人公が追い求めるその意味を、あなたも共に見つけ出してみてはいかがでしょうか?
🔪 『洗礼』(1974年 – 1976年)
お気に入り度:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

🌹 楳図かずおのサイコホラー傑作『洗礼』——美への執着が生む狂気と破滅の物語
📖 作品概要と誕生の背景
『洗礼』は、楳図かずおが1974年から1976年にかけて『週刊少女コミック』で連載したサイコホラー漫画です。
人間の持つ欲望や狂気、特に**「美への執着」**をテーマにした物語であり、楳図作品の中でも特に完成度の高い傑作とされています。
1970年代の日本は、経済成長が進み物質的な豊かさが増していた一方で、人々の心には新たな不安や恐怖が生まれていました。
楳図かずおはその時代背景を反映し、**「人間の内面に潜む狂気」**を描くことに挑戦します。
『洗礼』は、これまでのホラー漫画とは異なり、心理描写と社会的テーマを重視したサイコホラーとして新たな境地を切り開いた作品です。
🌹 あらすじ(ネタバレあり)
📌 美貌への執着と狂気の計画
物語の主人公は、かつて大女優として絶大な人気を誇った浅川夕子。
しかし、年齢を重ねるごとにその美貌は衰え、やがて彼女は芸能界を引退することになります。
**「美しさを永遠に保ちたい」**という強い執念を抱いた夕子は、ある恐ろしい計画を思いつきます。
それは、自分の脳を娘の身体に移植することによって若さと美貌を取り戻すというもの。
夕子は娘・美也子を産み、彼女が成長するのを待つ間も美への執着を募らせ続けます。
📌 脳移植という禁断の実験
美也子が成長したある日、夕子はついに計画を実行に移します。
娘の身体に自分の脳を移植することで、自分の意識を若い肉体に移し替えることに成功するのです。

手術は成功したかに見えましたが、次第に夕子と美也子の意識が衝突するようになり、狂気が深まっていきます。
夕子は「美也子」として新しい人生を歩もうとするものの、周囲に対する支配欲と嫉妬心が暴走し、次々とトラブルを引き起こしていくのです。
📌 母娘の葛藤と悲劇的な結末
物語のクライマックスでは、夕子の意識と美也子の意識が混在する状態に陥り、自分自身の存在意義を見失っていきます。
美也子としての人生を取り戻したいという欲求と、母親である夕子の支配欲との間で揺れ動く心。
最後に夕子は、自分が犯した罪と向き合いながら崩壊していく意識の中で、真実の愛を求めようとします。
しかし、その時にはすでに手遅れで、彼女の狂気がもたらした破滅的な結末が待ち受けていました。

🎨 作品のテーマと魅力
『洗礼』は、単なるホラー漫画ではなく、**「美」「狂気」「親子の愛憎」**といった普遍的なテーマを深く掘り下げた作品です。
楳図かずおは、この作品を通して次のようなテーマを表現しています:
- 美への執着とその果てにある破滅
- 美しさを永遠に保ちたいという欲望が、狂気へと変わっていく恐ろしさ。
- 社会全体が美を崇拝する風潮への鋭い風刺。
- 親子関係の歪み
- 夕子が美也子に自分を投影し、支配しようとする異常な愛情。
- 親から子への期待と、それを押し付けることの危険性。
- 自己の存在意義を求める葛藤
- 自分自身の意識を持ちながらも、他人の身体で生きるという矛盾。
- 人間とは何か、意識とは何かという哲学的な問いを含んでいる。

🔥 まとめ:楳図かずおが描いた狂気と愛憎の傑作
『洗礼』は、楳図かずおが描くホラーの中でも特に評価の高い作品です。
恐怖や狂気を描くだけでなく、美に対する執着や親子愛といった普遍的なテーマを取り扱っている点が、この作品の深みを生み出しています。
楳図かずおの優れたストーリーテリングと心理描写が際立つ『洗礼』は、今なお多くの読者に強烈な印象を与え続けています。
🌫️ 『おろち』(1969年 – 1970年)
お気に入り度:⭐️⭐️⭐️⭐️

怪奇短編のオムニバス形式で描かれるホラー作品。
謎の少女「おろち」が人間社会に関わりながら、さまざまな人間の業や狂気を目撃する。
人間の本質を鋭くえぐり出す短編群として評価が高い。
🌪️ 『漂流教室』(1972年 – 1974年)
お気に入り度:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

楳図かずおの代表作であり、SFホラーの金字塔。
突如として未来の荒廃した世界へと漂流してしまった小学生たちが、生き抜くために戦う姿を描く。
極限状態に置かれた人間の狂気と理性を描いた名作。
✨近々、特集します!
🌀 『まことちゃん』(1976年 – 1981年)
お気に入り度:⭐️⭐️⭐️

ホラー作家としての地位を確立した後に描かれたギャグ漫画。
「グワシ」などの独特なギャグ表現とブラックユーモアが特徴。
ホラーとギャグを見事に融合させた挑戦作。
⭐️近々、特集します♪
🤖 『わたしは真悟』(1982年 – 1986年)
お気に入り度:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

楳図かずおの異色作であり、SFファンタジーとロマンスが融合した作品。
人工知能の「真悟」と少女との交流を描きながら、人間とは何かを問いかける壮大な物語。
純粋さと狂気、希望と絶望が交錯する傑作。

⭐️近々、特集します!
✋ 『神の左手 悪魔の右手』(1986年 – 1989年)
お気に入り度:⭐️⭐️⭐️

子どもが持つ不思議な力と、それを巡る恐怖と救済の物語。
夢の中で見た恐怖が現実へと影響を与える。
「想像と現実の境界が崩れる恐怖」を描いたサイコホラー。
🔞 『14歳』(1990年 – 1995年)
お気に入り度:⭐️⭐️⭐️

環境問題や人類の未来をテーマにした長編SFホラー。
「人類滅亡」という壮大なテーマを、子どもたちの視点で描く問題作。
🎯 まとめ:楳図かずおの多彩な挑戦と恐怖表現の進化
楳図かずおは、手塚治虫の影響を受けながらも独自の表現を確立し、ホラーだけでなくギャグやSFといった多彩なジャンルに挑戦してきました。
彼の作品群を時代ごとに追っていくことで、その創作意欲の凄まじさと表現の幅広さを感じ取ることができます。

















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