
小池一夫先生を偲んで名作『傷追い人』を振り返る
今回は、筆者にとって80年代劇画の金字塔ともいえる作品――それが小池一夫×池上遼一による『傷追い人』です。
その誕生秘話をひも解きながら、本作が持つ魅力と時代性を改めて振り返り、
この作品を深く愛する同志の皆さんと、その熱い思いを共有できればと思います。

『傷追い人』とは?
小池一夫原作、池上遼一作画による劇画作品『傷追い人』は、1982年から1986年にかけて『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載されました。本作は、悪の巨大組織「G・P・X」によって人生を破壊された元アメリカンフットボール選手・茨木圭介の復讐劇を描いています。
ストーリー概要
茨木圭介(バラキ)は、恋人・夏子とともにG・P・Xに拉致され、彼女を失い、自身も投獄されます。出所後、ブラジルで金鉱掘りとして再起を図り、G・P・Xへの復讐を誓います。彼は財宝を手に入れ、アメリカで実業家として成功し、組織に近づいていきます。
数々の魅力的な女性キャラが登場し、茨木圭介がいかに復讐を果たすのか?その揺るぎない信念に心を奪われて仕方がありません。

🎭 登場人物
茨木圭介(いばらぎ けいすけ)
本作の主人公。通称”白髪鬼-ホワイト・ヘアード・デビル”
超優秀なフットボール選手だったが謎の組織G・P・Xに人生と大切な恋人の命を奪われ、復讐を誓う。

小宮 夏子 (こみや なつこ)
茨木圭介の婚約者。スケバンとして圭介に因縁をつけたことがきっかけで強く惹かれ合う。圭介の手で胸に蜥蜴の刺青を入れてもらうことで互いの存在の深さを実感していた。謎の組織G・P・Xに、圭介とともに拉致されるが、圭介への愛を貫き自らの舌を噛み切る。

日下 夕湖 (くさか ゆうこ)
空手の有段者で人気TVキャスター。番組レポーターとして、ブラジルで金の採掘で成功した日本人、リオ・バラキ(=茨木圭介)と接触するなかで、次第に惹かれていき、キャスターの仕事を辞め、彼と行動を共にする。亡くなった恋人への思いを断ち切れなかった圭介と、ついには心を通わせ最愛の恋人となり、財宝を発見するも、マフィアの襲撃において銃弾に倒れる。

ペギー
女船大工。マフィアの紹介で茨木圭介に雇われ、ポルトガル王国の隠し財宝を運んでアメリカへ渡る大型クルーザーを設計、建造する。渡米後は、謎の組織G・P・Xをおびき出すため、社交界の寵児となった圭介の妻として、またトップモデルとして圭介に尽くす。しかし、G・P・Xナンバー2のカルノ・ザンビーノとの戦いで圭介の盾となって死亡。

ミスティ
茨木圭介の敵組織G・P・Xから、圭介暗殺の命を受けた16歳の少女。格闘技に優れ、マグナムも自在に扱う。しかし、圭介暗殺に失敗したことでG・P・Xから刺客が送られる一方、圭介に介抱されたことで彼を愛するようになってしまい、自殺を図る。その後は、圭介に付き添うようになり、ホワイト大佐ら強敵が待つ最終決戦での圭介パートナーをも務めるようになる。
★ちなみに筆者が一番好きなキャラ

まとめ
『傷追い人』は、原作・小池一夫先生の荒唐無稽でありながらも圧倒的に引き込まれるストーリーテリングと、劇画界にその名を刻む画力の巨匠・池上遼一先生が、奇跡的ともいえる“最も脂の乗った時期”に手を組んで生まれた作品です。
テーマは、“愛のために君はすべてを捨てて生きられるか?”――。
復讐の名のもとに進む物語の中で、人間の孤独と葛藤、出会いと別れ、そして生=復讐への執着を賛美する美しくも切ない復讐譚。
80年代劇画の到達点と言っても過言ではない作品ではないでしょうか?
みなさんはどう思われますか?


















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