
カセットテープのロードが地獄だったが夢はあったよな!「黄金の墓」

🏺 黄金の墓(1985)
対応機種:PC-8801 / FM-7 / MZ-2000 / X1 など
メディア:カセットテープ版・5インチフロッピーディスク版
ストーリー
古代エジプトの失われた王家の墓に挑むトレジャーハンターが主人公。
財宝を求めるが、墓には様々な罠と謎が仕掛けられており、解き明かさない限り生きては出られない――というクラシックな探検譚。

レビュー
- 当時のテキストアドベンチャー全盛期の中でも、探索の自由度が高く「部屋を移動してアイテムを拾い、組み合わせて使う」というパズル要素が秀逸。
- カセット版だとロードに数分かかり、ちょっとした移動でも再ロードが発生するため、根気が必要だったのも思い出。
- グラフィックは線画に近いものでしたが、当時はそれでも十分に「王家の墓の神秘」を感じさせる魅力がありました。
当時のパソコン事情
・メモリは64KBクラスが主流
・ディスクドライブがまだ高価で、テープユーザーも多かった
・BASICでの自作プログラム全盛で、アドベンチャーゲームは打ち込み派にも人気
🏺 黄金の墓II(1987)

対応機種:PC-8801mkIISR / PC-9801 / MSX2 など
メディア:5インチFD
ストーリー
前作から数年後、同じく王家の墓を舞台にしながらも、主人公は別の冒険家。
伝説の「黄金のスフィンクス」を探して再び墓へ挑むが、前回以上に強力な呪いが待ち受けている。
レビュー
- Iと比べてグラフィックがカラー化し、より没入感アップ
- 当時のパソコンはFM音源搭載が標準化しつつあったので、BGMや効果音が非常に印象的だった
- 罠や謎解きのロジックが理不尽ではなく論理的で、良質な「2作目の進化」を感じる作品
当時のパソコン事情
・日本でもハードの世代交代が進み、PC-98が伸び始める
・FM音源や漢字ROMなど周辺機能が豊かになり、ゲームの演出力が飛躍的に向上
・雑誌にはパスワードやマップの攻略特集が連載され、ユーザーコミュニティも熱かった
🏺 黄金の墓III(1990)
対応機種:PC-9801 / X68000 / MSX2
メディア:3.5インチFD
ストーリー
主人公は遺跡調査団に所属する考古学者に変わり、エジプトだけでなく周辺の遺跡も含めて調査する大規模な物語へ。
「ファラオの呪い」を越えた古代文明の謎を解き明かすという壮大な展開が魅力。
マルチエンディング方式で、選択肢によって結末が変わるのも当時としては画期的。
レビュー
- X68000の高解像度グラフィックや多重スクロール演出により、より映画的な感覚に
- パソコン通信でのヒント共有が増え、ユーザーの情報交換文化と相まって盛り上がった
- セーブスロットを複数持てるのも当時の大きな進化
当時のパソコン事情
・3.5インチFDが普及してメディア交換が格段に楽に
・X68000の登場でアーケード並みの表現が可能になり、マイコン時代から本格的なパソコンゲーム時代への橋渡しに
・パソコン通信での攻略情報交換(NIFTY-Serveなど)が文化として根付く
🌟総評
「黄金の墓」シリーズは、日本のアドベンチャーゲームが
- テキスト中心 → グラフィック重視へ
- 一人で黙々 → ネットや雑誌で情報共有へ
と変わっていく時代を象徴する存在だったと思います。
パズルの難しさは人を選びましたが、その分クリアしたときの達成感は大きく、古代文明モチーフの先駆けとしてゲーム文化史に確実に足跡を残したシリーズでした。
🌟 黄金の墓シリーズ・広告キャッチコピー & ミニ知識
🏺 黄金の墓(1985)
キャッチコピー
「お前にこの謎が解けるか――王家の呪いが目を覚ます。」
- 当時のマイコン雑誌(I/OやマイコンBASICマガジン)の広告でも使われた決め台詞。
- いかにも当時の探検映画ブームの影響を感じさせるフレーズで、インディ・ジョーンズ人気ともリンクしていました。
ミニ知識
- BASICユーザー向けに「自作改造プログラム紹介」の投稿が盛り上がり、トラップの難易度を変えたりメッセージをカスタマイズする人もいた。
🏺 黄金の墓II(1987)
キャッチコピー
「黄金は再び、血を求める。」
- かなりホラー色を意識したキャッチコピーで、初代よりも恐怖感を演出
- 広告ビジュアルではミイラのイラストが使われ、当時の子供たちには少し怖い印象だったとの声も。
ミニ知識
- FM音源で奏でられる「ファラオのテーマ曲」が非常に耳に残ると評判で、テープに録音して聴く人もいたほど。
- 攻略雑誌に「黄金の墓II完全マップ」が折り込みポスターになって付録化したのも話題でした。
🏺 黄金の墓III(1990)
キャッチコピー
「生かして還さぬ。選べ、運命を。」
- マルチエンディングを前面に出した挑戦的なフレーズ
- 3.5インチFDのパッケージにこの言葉が大きく書かれていて、当時のゲーマーに強いインパクトを与えました。
ミニ知識
- PC-9801やX68000の「ハードディスク対応版」も後に出回り、ロード時間の短縮に歓喜したユーザーが多かった
- パソコン通信(NIFTY-ServeやPC-VAN)で最終エンディングの分岐条件が議論され、初めてマルチエンディングを意識的に攻略する文化が広がった
まとめてもう一度言うと、黄金の墓シリーズの広告は
「謎」「恐怖」「死の覚悟」を煽るキャッチコピーが一貫していたのが特徴です。
これは80年代後半に流行したB級ホラー映画や探検アドベンチャー映画の宣伝手法とも共通していて、当時の空気感を強く感じますね。
当時のパソコン雑誌のレビューを見つけたのでご紹介!
📰 黄金の墓(1985)
掲載:I/O 1985年10月号 / マイコンBASICマガジン 1985年11月号
I/Oレビュー(要約)
- 「単純に探すだけでは進めない論理的パズルが秀逸」
- 「文章表現に古代文明の雰囲気が漂い、テキストアドベンチャーの良さを再発見できる」
- 「ロードが長いが、その待ち時間さえ冒険の一部のように思えてくる」
マイコンBASICマガジン(通称ベーマガ)レビュー(要約)
- 「当たり判定の厳しさが少し理不尽だが、歯応えを求める人には最適」
- 「死にゲー的要素もあるのでマッピング必須」
- 「BASICで解析しようとする投稿者が続出」
📰 黄金の墓II(1987)
掲載:ログイン 1987年12月号 / I/O 1987年12月号
ログインレビュー(要約)
- 「音楽とグラフィックが一段進化し、エジプトの不気味さをうまく再現」
- 「ストーリー進行におけるヒントの出し方がちょうどよい難易度バランス」
- 「フロッピー版の読み込みが改善されてテンポが良くなった」
I/Oレビュー(要約)
- 「謎解きに論理性が出てきて、前作よりも親切設計」
- 「ミイラの襲撃シーンはホラー感たっぷりで恐怖度アップ」
📰 黄金の墓III(1990)
掲載:マイコンBASICマガジン 1990年10月号 / LOGiN 1990年11月号
ベーマガレビュー(要約)
- 「分岐エンディングがパソコン通信時代に合っていて情報交換が楽しい」
- 「セーブ機能の進化で攻略がしやすくなった」
- 「考古学ロマンを強化したストーリーが秀逸」
LOGiNレビュー(要約)
- 「背景のグラフィックが非常に美麗で、当時の最先端」
- 「PC-9801版とX68000版でBGMの印象がかなり違う」
- 「シナリオ分岐でかなり難度が上がったが、そこが良い」
📝さらにプチ豆知識
- 攻略記事としては特に「ベーマガ」や「ログイン」の投稿コーナーにヒント情報が毎月のように寄せられており、連載状態になっていた
- 雑誌に読者から寄せられた「黄金の墓II」の手描きマップが誌面に載ったのも話題で、当時の読者文化の温かさを感じさせます
















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