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あの頃受けた影響は計り知れないですよね そんな音楽をとことん語るコーナーです。

放送禁止なんて知ったこっちゃない!今でもかっこいいぞフランキー!!

――禁忌を超えたポップの大航海

1984年10月、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド(以下FGTH)は、ポップ界に衝撃を与える鮮烈なデビュー・アルバムを放った。『Welcome to the Pleasuredome』。セクシャリティ、反体制、挑発的なイメージを全開にした彼らの姿勢は、MTV全盛期の中でも強烈な異彩を放った。

Frankie Goes To Hollywood 『Welcome to the Pleasuredome』 (1984)

発表に至るまでの背景

FGTHはリヴァプール出身で、パンクとゲイ・カルチャーの要素を持ち合わせたアンダーグラウンドなバンドだった。彼らの挑発的な歌詞とパフォーマンスに目をつけたのが、当時最先端のサウンドを生み出していたプロデューサー、トレヴァー・ホーン。彼が率いるZTTレーベルと契約し、最新鋭のサンプリングやプログラミング技術を駆使して作り上げたのがこのアルバムだった。

1984年当時、世界のポップ・シーンはマイケル・ジャクソンの『Thriller』をはじめとする“MTV主導型”のポップが席巻しつつあり、シンセを駆使したエレクトロ・ポップやニュー・ウェイブもブームだった。FGTHはそんな潮流の中で、さらに過激でセクシュアルなテーマを押し出し、スキャンダラスに世間の耳目を集めることに成功した。

収録曲とサウンド

シングル「Relax」は当時、放送禁止レベルの露骨なセクシャルな歌詞で物議を醸したが、そのスキャンダルも含めて大ヒット。全英チャート5週連続1位、最終的に100万枚以上を売り上げた。さらに「Two Tribes」は核戦争をテーマにした挑戦的な歌でありながら全英9週連続1位を記録。これらのメガヒットを軸に、アルバム全体も衝撃的な内容となった。

アルバムタイトル曲「Welcome to the Pleasuredome」は13分超の壮大なエレクトロ・オデッセイで、官能と退廃の世界をアグレッシブに描き切る。楽曲構成もサンプリングと生楽器の融合が巧みで、ロック、ダンス、エレクトロの境界線を破壊している。さらにイレイン・ペイジの「The Power of Love」を思わせるような荘厳な「The Power of Love」も大ヒットし、彼らのイメージにさらなる深みを与えた。

収録曲(UK盤2枚組LP版)

Side One

  1. Well…
  2. The World Is My Oyster
  3. Snatch of Fury (Stay)
  4. Welcome to the Pleasuredome

Side Two

  1. Relax
  2. War (エドウィン・スターのカバー)
  3. Two Tribes
  4. (Tag)

Side Three

  1. Ferry (Go)
  2. Born to Run (ブルース・スプリングスティーンのカバー)
  3. San Jose (The Way) (バート・バカラック=ハル・デヴィッドのカバー)
  4. Wish (The Lads Were Here)
  5. Including the Ballad of 32

Side Four

  1. Krisco Kisses
  2. Black Night White Light
  3. The Only Star in Heaven
  4. The Power of Love
  5. Bang

チャートとセールス

アルバム『Welcome to the Pleasuredome』は全英1位を獲得、最終的に全世界で200万枚以上を売り上げた。

  • Relax:全英1位(5週連続)、全米10位
  • Two Tribes:全英1位(9週連続)
  • The Power of Love:全英1位
    という快挙を達成し、当時のイギリス・チャートをほぼ制圧したと言っても過言ではない。

影響と時代性

FGTHは音楽だけでなく、社会への挑発的なメッセージや、MTVを通じた視覚的インパクトで当時のポップ文化に多大な影響を与えた。過激な表現がタブーとされていたテレビやラジオの世界に「それでも売れる」という事実を突きつけ、表現の自由の幅を押し広げた功績は大きい。

また、トレヴァー・ホーンのプロデュースが示した「テクノロジーを駆使した未来型ポップ」の可能性は、その後のエレクトロニック・ミュージック、ダンス・ミュージックの発展にも強い影響を残した。

当時のインタビューからの印象的なコメント

ここは当時の音楽雑誌(Smash HitsNME)などから代表的なコメントをいくつか引用・要約します。

ホリー・ジョンソン(Vo)の言葉

「みんな、ラジオでは放送禁止だなんて言うけど、それで何かが変わるなら大歓迎さ。むしろ隠すより表に出した方がみんなにとってフェアだろ?」
(NME 1984年11月号より)

――RelaxがBBCで放送禁止になったときのインタビュー。物議をかもした彼らのスタンスをよく表しています。

トレヴァー・ホーン(プロデューサー)のコメント

「Frankieは挑発的だけど、本質的にはとてもポップだ。だからこそあの攻撃性を最大限に増幅させて、万人に届くようにしたかった。」
(Melody Maker 1984年12月号)

――最新鋭のシンセやサンプリングを駆使したトレヴァー・ホーンの制作哲学です。

ポール・ラザフォード(パフォーマー/コーラス)の言葉

「ステージでは嘘をつきたくないんだ。僕らがあれだけ過激なのは、ただ自分たちをさらけ出してるだけ。」
(Smash Hits 1985年1月号)

――ゲイカルチャー的な視点で自らのパフォーマンスを語った言葉。MTVでの挑発的な演出ともつながります。

総評・お勧めポイント

  • 挑発的でスキャンダラスな歌詞・イメージ
  • エレクトロとロックのハイブリッドなサウンド
  • トレヴァー・ホーンの天才的プロダクション
  • 80年代カルチャーを象徴する衝撃作

として、80年代ポップ史の中でもトップクラスに革新的なデビューアルバムです。ポップ・カルチャーの境界を破壊したいと思うなら、この作品は避けて通れない必聴の一枚だと断言できます。

🎯 1. 英国ポップ史に残る超メガヒット
Relax / Two Tribes / The Power of Love の全英1位トリプルヒットは80年代でもトップクラスの快挙。

🎯 2. プロデューサー:トレヴァー・ホーンの革新
Fairlight CMIなど最先端機材を投入し、80年代のエレクトロ・ポップの頂点を示したサウンド・プロダクション。

🎯 3. タブーを打ち破った挑発性
同性愛や性描写、反戦メッセージなど当時の英国社会で論争になったテーマを堂々と提示し、表現の自由を広げた。

🎯 4. アルバムとしてのスケール感
2枚組に及ぶ長大な作品ながら、コンセプト性の高さと完成度で「80年代版サージェント・ペパーズ」とも評されるほど。

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