■ ゼロ THE MAN OF THE CREATION

── 歴史と芸術を創造する孤高の贋作者

■ 作品が生まれた背景

『ゼロ THE MAN OF THE CREATION』(以下『ゼロ』)は、1992年に創刊された青年向け雑誌 『スーパージャンプ』(集英社) にて、原作:愛英史/作画:里見桂のタッグでスタートしました。
この雑誌はグルメ、美術、再現ミステリなど“大人の教養を刺激する漫画”を志向しており、そのコンセプトとぴったり合ったのが『ゼロ』だったのです。
“偽物ではなく、歴史の裏で本物を創る男”というコンセプトは、雑誌が求めるテーマに合致し、同誌の看板作品へと成長しました。


■ 人気エピソードをピックアップ

  • 「カレーライスの誕生」
     インドの秘境でゼロが編み出す、現代の誰もが愛するカレーライス。文化と歴史を俯瞰する哲学的アプローチが光ります。
  • 「ファスナーの創造」
     「服の開閉一つで人類はどう変わるのか?」という問いに挑む、技術と文明の関係性を考察する回。
  • 「ロボットの涙」
     感情を持つロボット創造という未来的テーマを扱い、人間と非人間の境界に鋭く迫ります。

どれも”普通の日常”に秘められた「創造」の瞬間をドラマチックに描写し、知的好奇心に満ちた名作として根強い人気を誇ります。


■ 制作秘話

構成の愛英史は「なぜその発明が必要だったのか」を丁寧にロジック化し、里見桂はその上にリアルなアートを描き上げることで知られています。
特に、食文化や歴史分野の回では専門家との取材や資料読み込みも徹底され、知的リアリティの融合が作品品質を支えました。


■ 発行部数・連載規模

  • 単行本は全78巻(電子版含む)
  • 公式な累計発行部数は不明とのことですが、スーパージャンプが廃刊となる2011年まで、20年近い長期連載が示すように、安定した人気を獲得していた作品です 。

■ おすすめレビュー:知的好奇心を刺激するアドベンチャー

『ゼロ』は一話完結型の知的エンタメミステリー。
歴史や文化の「裏側」を知的冒険として見せてくれる点が非常に魅力。
制作者たちの徹底した取材によるリアリティ、そして人類の叡智を象徴する“創造の瞬間”の描写は、読むたびに発見と感動があります。
アート、歴史、科学、グルメ……さまざまなジャンルに広がる知識欲を満たしてくれる、大人の教養マンガとして強くおすすめです。

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