
集中連載「プリンスを語ろう!」Vol.02
2ndアルバム「Prince」
なぜ彼は、自分の名前をアルバムタイトルにしたのか?

はじめに
この連載は、
**シオジリケンジ(通称:シオケン)**と
音楽ライター・神崎いろは(通称:いろは)
――2人の対話を通して、Princeのアルバムを1作ずつ読み解いていくシリーズだ。
Vol.1『For You』で示されたのは、
「このアーティストは最初から完成していた」という事実。
では次の一手で、プリンスは何をしたのか。
答えは、自分の名前をタイトルに掲げることだった。
「2ndで“自分の名前”って、早すぎませんか?」
いろは:
いきなりなんですけど、
2ndアルバムのタイトルが『Prince』って、
ちょっと早すぎません?
シオケン:
普通はね(笑)。
キャリアの集大成とか、セルフタイトルは後半に出すもの。
いろは:
しかもまだ20歳そこそこ。
これは自信なのか、挑発なのか……。
シオケン:
どっちもだと思うよ。
でも一番近いのは、定義づけかな。
「“Princeとは何か”を先に決めにきた」
いろは:
1979年当時のプリンスって、どう見られてたんですか?
シオケン:
“器用な若手R&Bシンガー”だね。
『For You』で才能は認められたけど、
まだ異端ではない。
いろは:
そこに、いきなり『Prince』。
シオケン:
つまりこれは、
「ジャンル名でもコンセプトでもなく、俺が基準だ」
っていう宣言。
いろは:
音楽性じゃなく、存在そのものをタイトルにした。
「このアルバム、めちゃくちゃ“分かりやすい”」
いろは:
聴き直して思ったんですけど、
『For You』よりポップですよね。
シオケン:
そう。意図的にね。
メロディが立ってるし、曲も短め。
いろは:
「I Wanna Be Your Lover」なんて、
完全にヒット狙い。
シオケン:
でもね、ここが重要で。
売れる形を“理解した上で”やってる。
いろは:
迎合じゃない、と。
シオケン:
うん。
自分を薄めてない。
ファルセットも、リズム感も、性的なニュアンスも健在。
「これは“自己紹介の完成版”」
いろは:
『For You』が静かな自己紹介なら、
これは何ですか?
シオケン:
名刺の完成版かな。
「これがPrinceです。以上」って。
いろは:
だから次に行けた?
シオケン:
そう。
ここで“わかりやすいPrince”を一度提示したから、
次で思い切り壊せる。
いろは:
……『Dirty Mind』ですね。
シオケン:
そう。
このアルバムがあるから、
あの暴走が成立する。
シオケン:
『Prince』は野心的な作品じゃない。
でも、覚悟がある。
自分の名前を看板にするって、
それだけで相当な決断だからね。

















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