
集中連載「プリンスを語ろう」Vol.05
5thアルバム「1999」
終末を踊り場に変えた、ポップ革命の始まり

はじめに
**シオジリケンジ(通称:シオケン)**と
**音楽ライター・神崎いろは(通称:いろは)**が、
Princeのアルバムを1作ずつ語る連載
「プリンスを語ろう!」。
Vol.4『Controversy』で、
プリンスは社会に問いを投げ、答えを拒否した。
では、その“問い”はどこへ行ったのか。
――ダンスフロアだ。
1982年発表の5thアルバム
『1999』。
ここでプリンスは、
思想を、論争を、恐怖さえも踊れる音楽に変換してみせた。
「これ、急に“スターの音”ですよね?」
いろは:
『1999』をかけた瞬間、
空気が変わりますよね。
「あ、これは売れる」って。
シオケン:
うん。
でもただの“売れ線”じゃない。
いろは:
音は派手、シンセは洪水、
しかも2枚組。
シオケン:
異常な賭けだよ。
まだ大スターでもないのに、
2枚組で世に出す。
「世界が終わるなら、派手に踊ろう」
いろは:
タイトルからして不穏ですよね。
“1999”。
シオケン:
冷戦、核戦争、終末論。
当時の空気は重かった。
いろは:
でも、暗くならない。
シオケン:
そこがプリンス。
「世界が終わるかもしれないなら、
今夜はパーティーだ」って。
いろは:
絶望を煽らない。
シオケン:
むしろ、
恐怖をエネルギーに変えてる。
「シンセ、ドラム、声――全部が前に出てくる」
いろは:
音の情報量、すごくないですか?
シオケン:
すごい。
リンドラム、アナログシンセ、
多重ボーカル。
いろは:
でも破綻しない。
シオケン:
理由はシンプル。
ファンクの芯があるから。
いろは:
だから踊れる。
シオケン:
どんなに実験しても、
腰は正直だからね。
「The Revolutionは“装置”だった」
いろは:
このあたりから
“バンド感”が一気に出ますよね。
シオケン:
The Revolutionの原型。
でもこれは仲良しバンドじゃない。
いろは:
じゃあ何ですか?
シオケン:
表現を拡張するための装置。
プリンスの頭の中を
ステージに可視化するための。
いろは:
ソロアーティストの限界を
自分で壊しにいってる。
シオケン:
『1999』は、
プリンスが初めて
世界と同じ音量で話し始めたアルバムだ。
ここから先、
彼は“無視できない存在”になる。

いろは:
次回は、
この巨大化したエネルギーが
物語と映像を伴って臨界点に達する瞬間。
音楽史の分水嶺、
**『Purple Rain』(1984)**を語ります。
——続く。

















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